50代新人看護師、保育園に行く。で、ときどき落語

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『ひとの気持ちが聴こえたら』を読んだ。。。

 


『ひとの気持ちが聴こえたら』―私のアスペルガー治療記ー を読んだ。

 驚いた。

 この本の内容をきちんとまとめられる自信はないのだが、ここに書いておく。

 筆者のジョン・ロビソンは、アスペルガー症候群、つまり知的な障害はない自閉症者である。いや、IQ は平均以上だ。実際、エンジニアとして社会的にも経済的にも成功を収めている。キャリアの前半は音響技術者(あのKISSの火を吹くギターを作った人だって!!!)、後半は自動車修理会社を経営している。結婚も2回目、子どももいる。すごい人だ。。。

 しかし、自閉症者として、人との関わりがうまくいかず、辛い半生を送ってきたという。そのジョンがTMS(経頭蓋磁器刺激)の実験に参加し、一時的にではあるが、自閉症が ”治った” のである。その時、すでにジョンは50代だった。

 自閉症が治るとはどういうことか?。実験参加者の体験は個人差があり、ジョンはその中でも最も顕著にTMSの影響が現れた事例のようだ。周囲の人々の表情など言語外のメッセージが分かるようになった、他者に共感するようになった。モノクロだった世界が急に鮮やかに感じられた・・・ということだ。興味がある方は読んでみてほしい。

 しかし、TMSの効果は一時的だ。やがて、元に戻ってしまう。SF小説の『アルジャーノンに花束を』みたいだ。ほんとに、そんな感じ。実際、同じ実験に参加した10代のニックは、他者の気持ちがわかるようになり、友だちができ、女子にも誘われるようになったが、やがて、もとに戻ってしまう。彼はもう2度とTMSはやらないと言っているそうだ・・・。

 ジョンの場合は、すでに、一時的な ”治療効果” を受け止めるだけの人生経験があったために、その体験を糧にすることができたし、この本だって書くことができた。ここが、このTMS体験のミソなのだ。現在もジョンは自閉症者の支援、神経医学の発展のために、社会的に重要な役職を精力的にこなしている。アメリカには省庁横断的な自閉症者支援の組織があるらしいが、そのメンバーでもある。

 

 この本はさまざまな示唆に富んでいる。

 そもそも、ジョンがエンジニアとして成功してきたのは、自閉症故の才能のおかげだったと彼自身が認識している。もっと大きく言えば、人類史上、天才と言われたような人には、自閉症と思われる人も多いようだ。果たして、自閉症とは治療されなければならないものなのか?。

 もっとTMSが進化して、いずれ、人々の脳みそを全員 ”標準化” する社会が来るのか?。。。なんて、ところまで、考えてしまう。

 興味のある方は、ぜひ、読んでみてください。(←結局、これしか書けない)

 

 今日はこのへんで。