子どもの攻撃、必殺技はひっかきと噛みつきである。侮ってはいけない、一瞬でしっかり傷跡が残るほどの攻撃力なのだ。保育園には、ケガや病気の記録ファイルとともに、ひっかき&噛みつきの記録ファイルがあるくらいだ。
アリスちゃん(仮名)は満4歳。ウコンくん(仮名)は3歳。うちの園では、3歳以上の10数名が同じ部屋で保育されている。
午前中の戸外活動の時。公園で10数名が遊んでいた。
ウコンくんはお気に入りの機関車トーマスのコンビカー(幼児がまたがって、足で地面蹴って進むやつ)で遊んでいた。3歳以上となると、鉄棒にもチャレンジするし、いろんなルールの鬼ごっこもできる。しかし、やっぱりコンビカーは人気があって、取り合いはめずらしくない。
ウコンくんの抗議の叫び声に振り向くと、いつのまにか、トーマスのコンビカーにアリスちゃんがまたがっている。横取りされたのだ。というか、強奪に近い・・・
ウコンくんは、まだあまり言葉が出ない。何か叫びながら、コンビカーのハンドルを両手で引っ張る、アリスちゃんも引っ張る。
よくあるシーンだ。2歳児までなら、ここで、「はいはい、どうしたの?。どっちが先に使ってたのかな?」などと言いながら、2人に割って入るところである。
しかし、一瞬だった。ガリ。。。
本当に一瞬。サッとアリスちゃんの両手がウコンくんの顔に伸びた。それだけで、しっかり相手の顔面に爪を立て手、傷を負わせる技を持っているのだ。ウコンくんが泣く。顔面に赤い筋ができている。しまった・・・
実は、ウコンくん、アリスちゃんにすでに何度もやられているのだ。顔が傷だらけである。
あとで他の先生に聴くと、アリスちゃんは何の理由もなくウコンくんを攻撃するのだという。なぜかはわからないが、通りすがりに。先生がウコンくんに向き合っている時など、先生の背後からサッと手を伸ばして攻撃する。だから、アリスちゃんがウコンくんに近づく時、先生方がハッと反応する。それでも、やられている・・・
もちろん、双方の保護者に報告する。ウコンくんのお母さんには平謝りしかない。加害児がだれなのかということは言わないものなのだが、お母さんもわかっている。家でウコンくんの言葉の中に、アリスちゃんという名前が出てくるらしい。
アリスちゃんのお母さんも、気にはしているようだ。仕事が忙しくてかまってやれないこと、アリスちゃんは癇癪を起こすと手がつけられないので、家でも対応しかねていること、などが耳に入る。
おんなじ子が何度も、ひっかき、あるいは噛みつきをくり返す。しかも、このケースはおんなじ子がやられている。どうして、その場にいる先生が止められないの???と思われるだろう。
・・・止められなければならない。
今日はこのへんで。