50代新人看護師、保育園に行く。で、ときどき落語

日々の雑感、お仕事や落語・・・

母の新盆供養。。。世界一やさしい抱っこ。。。

 母の新盆。初盆。母は、昨年、10月に他界した。以来、実家は、父のひとり暮らしになったのだが、この日は久しぶりに親戚も来てにぎやかになった。

 生前、母のために買った ”ダッキー” という犬のぬいぐるみがある。

 『ヒーリングパートナー もっと おりこう ダッキー』である。

 声の出るオモチャで、頭をなでたり、前足をつかんだりすると、あらかじめ録音された可愛い男の子の声が出る。目を開けたり閉じたりする。それだけのオモチャである。ずっとリビングのソファに鎮座していたが、誰も触ったりしないままだった。そのダッキーを、1年ぶりに持ち上げてみると、『ふわぁ~あ、眠たくなってきちゃったよぉ』と声を出した。

 父もわたしも姉もビックリする。このダッキー、配線の接触不良か、もう声を出さなくなっていたのだ。もちろん、電池交換などもしていない。

 わたしがダッキーをいじってみると、同じことを繰り返す。ほんとは、何百通りかの文章がランダムに出るのだが、眠たくなっちゃったよぉ、を繰り返す。

 生前、母がダッキーを抱いていた姿を思い出す。

 母は認知症がかなり進んではいたが、もちろん、ダッキーが機械仕掛けのおもちゃであることは認識していた。そのうえで、可愛いぬいぐるみとしてダッキーを抱っこして、ランダムに発せられるその声を面白がったいた。

 その母のぬいぐるみを抱く姿が、わたしは好きだった。

 なんというか、『慈母』という言葉そのもののような。人間の赤ん坊を抱くように、ぬいぐるみを抱く。やさしく、そのお尻と背中に手を添える。その手のやさしさがなんとも言えず、また、抱っこの仕草が、その、何と言うか、 ”堂に入って” いたのだ。

 世界一、やさしい抱っこ。

 This Is 母 。

 といった感じだった。わたしもこうやって抱いてもらったのだろうか。

 いつも、「ああ、なんてやさしい抱き姿なんだろう」とわたしは心の中で思ったものだ。

 お母さん、お帰りなさい。

 お坊さんがやって来て、つつがなく新盆供養もすみました。

 今日はこのへんで。