50代新人看護師、保育園に行く。で、ときどき落語

日々の雑感、お仕事や落語・・・

看護学生時代の苦い思い出。。。採血。。。(後編)

 さて。続きです。

 採血の演習を欠席してしまった男子のクラスメート・・・。この、欠席って、けっこうシャレにならない。ほかの学科と違って、看護学科の授業ってのは、ほぼ全科目が必修なので、ひとつでも落としたら留年なのだ。

 なので、先生が補習をしてくれたのだ。私も一肌脱いだ。私の腕から.好きなだけ血を抜くが良い。何しろ、1学年にたった3人の男子。いつも、3人掛けのテーブルに肩を寄せ合って授業を聴いている仲だ。

 夕暮れの演習室。美人な先生と、こまったちゃん男子(19歳・仮名)と私。

 私は、右腕を差し出した。おずおずと男子が消毒用のアルコール綿を取り出し、肘の内側あたりを拭き始める。

 ・・・なってない。すでにこの段階で、こいつ、今まで何、練習してきたんだよ?、ちゃんと授業聴いてたのかよ?、という疑問がわく。さすがは、こまったちゃん男子。

・・・えっと、これ、どうするんでしたっけと・・・と、自信なげに、私の腕の上をアル綿で拭く、というより、力なくなでている感じ・・・

 美人な先生の顔が曇る。・・・まずい。怒っている。完全に怒っている。この美人でやさしいと評判の先生が・・・。←わざわざ、美人と書いているが、本当に美人。過剰に美人。たぶん、ご自分でも充分にそれを意識されている、やさしくて可愛らしいアラフォーの先生だ。ふだんは、学生を叱るときも、プンプンと言いながらお説教する先生が、今、まじでイラッときているのが分かる。

「・・・授業でやりましたよね?。消毒は大切ですよ。アルコール綿は針を刺す部位から、外側に向かって四角いらせんを描くように。こうです・・・」

 先生が、私の左腕をぐいととる。先生が、肘の内側をアルコール綿で、キビキビと拭き上げた。その時だ。

 ・・・私の肘の内側から、垢が出てきた・・・。え?、まじ?。・・・自分でもあせる。

「・・・(拭き終わったアル綿を見て)汚い。。。」と小さくつぶやいて、アル綿をゴミ箱に捨てる先生。。。愕然とする私。

「もう一度!」。しかし、そう言われても、こまったちゃん男子は、いっそう腰が引けている。さらに自信なげに、私の腕をヘニャヘニャとアル綿でなでる。

「だから、そうじゃないでしょ!?。先生はそんなふうにやりましたか?。こうです、こう!」と声を大きくして、再び、私の肘の内側をガシガシ、アル綿で拭き上げる先生。・・・垢が出る・・・。

「・・・(拭き終わったアル綿を見て)汚い!!!」とはっきり声に出して、アル綿をゴミ箱にたたき捨てる先生。。。どこかに消え入りたい私。

 

 ここで、弁明のために書いておくが、私は不潔だったわけではない。その当時、「風呂で肌をこすらない」を実践していたのだ。タモリさんも福山雅治もやっているそうだ。人間の汚れは湯船に10分間つかっていればそれでとれるのである。。。でも、垢が・・・。

 夕暮れの演習室。2人に両腕を差し出して、泣きたい気持ちの私。

 

 で、まあ、結局、こまったちゃん男子も、無事に演習の単位をもらえたのでよかったとしよう。というか、このあとの記憶がほとんどない。

 

 みんな、採血の前の日は、肘の内側あたりをお風呂でゴシゴシ洗おうね。

 今日はこのへんで。