50代新人看護師、保育園に行く。で、ときどき落語

日々の雑感、お仕事や落語・・・

ほとんどSF???。。。落語『まんじゅうこわい』。。。

 日曜日です。落語のお稽古をせねば。次は「まんじゅうこわい」をおぼえるぞ!

 ・・え?、・・・あれ?、まだおぼえてなかったの?。まんじゅうこわいは「寿限無」と並ぶ前座話の代表格だよ?。・・・はい、これからおぼえます。。。がんばります。。。

 

 みなさん、ご存じと思うけど、いちおう、あらすじ。

 町内の若い連中が集まって、話をしている。お互いに自分の怖いものを言いっこしようじゃねえか、ということになった。『俺は蜘蛛が怖い』『蛇が怖い』『ナメクジがダメ』『蛙がイヤ』・・・と盛り上がっている。しかし、ひとりだけ(”たっつぁん”としておこう)、自分はこわいもんなんかねえ、と言い張る。みんなで本当にないのか?と詰め寄ると、ついに白状。

 『・・・実は、まんじゅうがこわい。・・・ああ、口に出しただけで怖くて体が震えてきた・・・。少し、奥の部屋で休ませてくれ』とたっつぁんは寝込んでしまう。

 それを見た残りのみんな、『たつの野郎、日頃から生意気なんだ、脅かしてやろうじゃねえか』と、まんじゅうをたくさん買ってきて、たっつぁんの枕元に放り込む。

 しかし、実はこれ、たっつぁんのお芝居。ほんとは大の甘党のたっつぁん、みんなが買ってきたまんじゅうを、こわい、こわいと言いながら、おいしそうにペロッと食べてしまう。

 『この野郎、だましやがったな! おい、おまえ本当は何がこわいんだ!?』

 『今度はお茶が一杯、こわい』というオチ。

 

 ・・・でね、何がSFかというと、「まんじゅうこわい」に流れてる時間ですよ。

 だって、みなさんの中にいますか?

『きのうは、友達のうちに7,8人で集まって、お互いにこわいものを言い合って、楽しい時間を過ごしました~♫』・・・なんて人、いたら仲間に入れてください。

 テレビもラジオもない時代。誰かと話したかったら、直接会いに行くしかない。どこに行くのも2本の足で歩いていく。。。そんな時代の楽しみ方。現代人には、絶対にできない時間の過ごし方、もう、サイエンスフィクションの世界ですよ。

 古典落語の中にだけ、流れている時間。

 でもね、SFではあっても、私たちと地続きの時間です。

 というのも、たとえば。

 私の父の実家、つまり私のじいちゃん、ばあちゃんの家は、宮城県で床屋をやってます。今はいとこが継いでます。床屋って、昔は村で唯一の”社交の場” ”娯楽の場”だったそうです。父の子どもの頃、ぎりぎり戦前の記憶。。。

 夜な夜な若い連中が集まってくる。もちろん、散髪をするわけではなく、みんなしてどうでもいい話に興じている。蓄音機でレコードかけたり、ギターをつま弾いてみたり、時には枝豆の大食い競争をやったり・・・、

 私も、父からそんな思い出話を聴いて育ったので、「まんじゅうこわい」の時間が、なんとなく地続きという気がするのです。逝きし世の面影(by渡辺京二)。あこがれをこめて、演じたいと思います。。。