50代新人看護師、保育園に行く。で、ときどき落語

日々の雑感、お仕事や落語・・・

まんじゅうがこわい!。。。理由

 さて、ただいま、落語「饅頭こわい」を練習中、いや、練習せねばとあせっているところです。。。

 古典落語を聴く楽しみのひとつが、当時のひとの会話や風俗を知ることができる点だと思う。たとえば・・・

 その前に、いちおう、あらすじ。

 町内の若い衆が集まって話している。『俺は、蛇が嫌いだ』と誰かが言う。

『なるほど、人間というものは、”えな”の上を最初に通ったものがこわいって言うからな。おめえは蛇だったんだな。おう、おめえはどうだい?』

『俺は、蟻がこわい』『俺は、毛虫が苦手だ』『俺は、蝉がこわい』『俺は、蜘蛛だ』なんて、お互いに怖いものを言い合っている。しかし、辰さんだけは、この話に加わらない。やがて、辰さんがみんなを見下したように、『だらしがねえな、おめえら。蛇なんざ、頭痛のするときに、鉢巻きの代わりに頭に絞めると冷たくって気持ちがいいぞ。蟻なんざ、ごま塩のかわりにご飯にパラパラッとかけて食っちまうんだ・・・』

 しかし、この辰さんにも実はこわいものがあるという、それは饅頭。『・・・ああ、饅頭、という言葉を聞いただけで寒気がしてきた・・・』と隣の部屋で寝込んでしまう。

 仲間たちが、生意気な辰さんをいじめてやろうと、饅頭を山ほど買ってきて、辰さんのまくらもとに置く。すると、辰さん、起き上がって、『ぎゃー、まんじゅう、こわい~』と悲鳴を上げながら、パクパク食べてしまう。

 辰さんにだまされた仲間たち。『いったい、おめえは何がこわいんだ?』

 『ここらで、熱いお茶がこわい』(♫てけてんてん・・・)

 というストーリーなんですが、へー、と思うことがいくつもあります。みなさんはどうでしょう?。

 私の場合は、”えな”の上を最初に通った・・・のくだりがずっとわからなかったのですが、さすがに自分が演じるとなると、ググってみたりします。すると、

 ”えな”は、胞衣という漢字で、胎児を包む膜と胎盤のことだそうです。看護学校の授業でやりました。胎児の後にお母さんのおなかから排出される器官ですね。

「日本では、(えなを)床下や木の根、または墓地などに埋め、その上を一番先に通ったものを、その子が終生恐れるとして、父親がまず踏み通る風習などがあった」(世界宗教用語大辞典)。

 へー?、そうですか。なんか固い文章、もうちょっと柔らかい解説はないかな。

「蛙をきらいこわがる人はかなりたくさんある。それから蜘蛛や蟹をきらう人も知人のうちにある。昔からの言い伝えでは胞衣(えな)を埋めたその上の地面をいちばん最初に通った動物がきらいになるということになっている。」(寺田寅彦『自由画稿』)

 おー、そうなんだ。

 古典落語というと、一般的には、明治、大正、昭和のはじめまでに創作されたものをいう。当時のひとの常識で、現代のわれわれが知らないことってたくさんある。

 それを知るのも、落語を聴く楽しみのひとつですね。

 今日はこのへんで。稽古します。。。